台風や大雨が思いがけない現象を招くケースはよくある話だが、先月末、サイクロンが上陸したニュージーランドで発生した「石の川」が話題になっている。
激しい音を立て、狂ったようにうねりながら恐ろしいスピードで流れる無数の石や岩。それは氾濫する川の映像をCGで石にしたのかと思えるほどだ。
この様子は、自然現象の凄まじさと驚異を示す映像としてフェイスブックユーザーの間で4000回以上もシェアされている。なお、動画再生の際は音量注意だ。
渓谷で発生していた「石の川」
これは不動産業を営むCleardale – Genes For Profitがフェイスブックでシェアした映像で、この石の川は、南島のカンタベリー地方にあるハット山付近のラカイア渓谷周辺で発生していたそうだ。
先月20日、ニュージーランドに上陸したサイクロン「ギータ」により、この地域は非常事態宣言が出るほど激しい嵐に見舞われ、電気設備を含めさまざまな被害が生じた。
そこでスタッフの一人であるドナ・フィールドさんが息子とともに、その余波を受けたラカイア川の被害調査を行った際、偶然この現象に遭遇した。当時は雨が降っていて風が強かったという。
農家を孤立させた石の激流
ドナさんによると石や岩の激流は、付近の8つの農家が利用する道路を横断し、その世帯を孤立させていたという。
録画中は石の騒音と強風で、大声で叫ばなければ会話ができなかった。石の流れる音は特にすさまじく、トラックに積んだ砂利が延々とぶちまけられたような感じだったそうだ。
これじゃ付近の住人も生きた心地がしないだろう・・・と思いきや、なんとこの石の川、地域の人々にとっては珍しい光景ではないそうだ。
小石が流体のようにふるまう現象「粒状流」
なお、地質学者であるデイブ・ペトリーさんはこのように説明している。
「これは壮大な粒状流の一つです。奇妙な光景に見えますが非常に一般的な現象であり、文献でもよく記載されているもので、小石が粒子のようになり流体のようにふるまう現象なんですよ」
どうやらこれは堆積物が重力で流れる現象の一つで、岩石が砕けるなどしてある一定のサイズにそろった石が大量にある状態で起きるものらしい。なお、山から流れ出た無数の石たちは扇状に堆積していくという。
ここ数年で激しくなっている現象
住民にとってはよくある光景とはいえ、この現象はここ2~3年で激しくなっており、農家の人もたびたび不便な目に遭っているようだ。
激流の川も恐ろしいが、こんな石だらけの流れに巻き込まれたらボロボロのズタズタになってしまうに違いない。ニュージーランドの南島で石の川に遭遇した際は興味本位で接近しないことだな。