「ブラックホールからは抜けられる」うつに苦しむ人へホーキング博士の言葉

理論物理学者、”知の巨人”として知られるスティーヴン・ホーキング博士は現代に生きる最も偉大な人の一人です。

彼はガリレオの死後300年にあたる1942年1月8日にイギリスで生まれました。

1957年、17歳でオックス・フォード大学に入学し、1962年に卒業。同年にケンブリッジ大学大学院、応用数学・理論物理学科に入学した翌年の1963年、21歳の時に、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis、略称:ALS)と診断されました。

医師から宣告された余命は「2年から2年半」でした。

75歳になっても博士は研究を続けている

しかし、それから50年以上経ち、75歳を過ぎた現在でも、ホーキング博士はたゆまぬ努力と研究を続け、美しいメッセージを世界に発信し続けています。

ホーキング博士は、ALSと診断された時に「打ち砕かれ、希望や期待を何もかもなくしてしまい、それ以降の彼の人生はすべてボーナスであると考えている」と語っています。

車いすで生活し、話すことはできません。スピーチや会話はコンピュータプログラムによる合成音声を利用しています。

彼の素晴らしいところは、こうした人生の難関に直面しても、決してネガティブにならずに一心に研究を続け、学ぶことを諦めなかったことです。

ホーキング博士は12もの名誉学位を持ち、人生のすべてを宇宙、ビッグバン(この宇宙には始まりがあって、爆発のように膨張して現在のようになった)、ブラックホール、宇宙創造理論、科学理論についての答えを見つけることに捧げました。

「宇宙はいつ、どのように始まったのか?」「なぜ、この世界が存在するのか?」「なぜ、私たちは存在するのか?」といった宇宙、そして生命の根源的な謎を私たちは抱えています。それに対するニュートンの学説「宇宙はカオスから生まれるのではなく、神によって創造されたに違いない」に対し、ホーキング博士は異論を唱えました。

「重力の法則があるため、宇宙は無から自らを創造できる。この自発的な創造が、無ではない有、すなわち、宇宙と人間が存在することになった理由だ」と説き、世界をうならせたのです。

そして、アインシュタイン以降、すべての物理学者が追求してきたテーマに、現在到着しうる最新の理論を導き続けています。

ホーキング博士から、うつに苦しむ人へメッセージ

そんなホーキング博士が、うつ病で苦しんでいる人々、気分が落ち込むことが多い人へメッセージを送っています。「絶望のブラックホールから脱出することは可能なのだ」 と。

これはロンドンの王立科学研究所で74歳の誕生日前日に行われた、BBCリースレクチャー(Reith lecture)で語られたメッセージです。博士は自身の最新理論を説明した講義の最後をこのように締めくくりました。 ニュースメディアPower of Positivityが伝えた内容を抜粋し、日本語訳してお伝えします。

「足元を見るのではなく、空を見上げることを忘れないで。決してあきらめないでください。頑張ることに意味や目的があり、人生はそれがなければ空虚なものです。

もしあなたが幸運にも愛を見つけることができたなら、それを大切にして。どんな時にも投げやりな気持ちを起こさないで」

そして、博士はうつ病をブラックホールに例え、「そこから抜け出すことは不可能ではない」と説きました。

「私が伝えたいことは、ブラックホールは見た目ほど真っ黒ではないということです。

これまで考えられていたような永遠の牢獄ではありません。

ブラックホールには他の宇宙への出口があり、それはうつ病についても同様です。ですから、皆さんがブラックホールの中に入り込んでしまったような気分に陥ったとしても、決してあきらめないでください。

出口はあるのですから」

また、博士は自身の障がいについて質問された時は、こう答えています。

「誰もが自分を犠牲者だと思うなら、そこで人生を終わらせる権利はある。でもそれは大いなる間違いであると私は思います。

(障がいを持っていることは)良い生活を送ることができないように見えるかもしれません。

しかし、希望さえあれば、何かできることはあり、その道で成功できる道もあるはずです。

障がいがあることはあなたのせいではありません。しかし、世間を非難したり、自分を卑下したり、同情を得ることを期待することはよいこととはいえませんね。

大切なことは、ポジティブな思考をたえず持ち続け、与えられた状況でベストを尽くすことなのです。

もしあなたが身体障がい者であるなら、精神的な障がいを持つ必要はありません。これは私の意見ですが、身体に障がいがある方は、身体的な障がいがハンディキャップにならない領域の活動に専念するべきです。

私はオリンピックの選手にはなれませんが、子どもの頃から運動が嫌いでしたのでそういった希望は持っていませんでしたが…。しかし、理論物理学に出会い、研究を始めることができたことは幸運でした。

科学の分野は主に頭脳と心を使って仕事をしますから、障がい者にとって非常に良い領域です。この分野は自分の障がいがハンデにならない数少ないもので、私にとっては理想的なのです」

ホーキング博士は、科学者『ホーキング、宇宙を語る』を始めとする数多くの著作を通じて、宇宙と私たち一人一人が繋がっているということをわかりやすく解説し、宇宙を身近なものにしてくれました。博士のもつ身体の障がいは、彼の好奇心と探求心を止める妨げにはなりませんでした。

講演会後に、博士の娘のルーシーさんはこうコメントしています。

「父は、蓄積したすべての知識、全エネルギー、集中力のすべてを一点に注ぎ、ゴールに向かって邁進できる素晴らしい能力を持っています。

うらやましいほどの強固な前進する力があります。ただ生きるためだけではなく、執筆や講義をしたり、心や体に病気を抱えている人たちを励ましたり希望を与えるために、一生懸命仕事に取り組んでいるのです」

余命宣告されてからのホーキング博士にとっては、毎日がかけがえのない「1日」。それを日々積み重ねてきたことが今日の素晴らしい業績に繋がっているのだと思います。

博士のメッセージはうつに悩んでいる方だけでなく、人生に行き詰まりを感じている方々や、気分が落ち込んでいる人たちにも突き刺さる部分があるのではないでしょうか。

ホーキング博士の名言

博士はたくさんの名言を残していますが、その中でも印象的なものを最後にご紹介します。とても説得力がありますね。胸の中に留めておきたい言葉です。

人生はできることに集中せよ。できないことを悔やんでもしかたがない。

今の仕事を好きになって、一生懸命にやった時、次の道が見えてくる。

ブラックホールから抜け出すために ホーキング博士のスピーチ


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